~ うさ吉という男 ~
「ほんとうにおかしな人ね。」
女はそう呟くと、グラスにわずかに残ったウォッカを一息に飲み干した。
「案外、夜は冷えるでしょう?」
うさ吉は何も言わない。
女は少し気怠そうな素振りで、ソファーに体を預けた。
うさ吉は何も聞かない。
女は視線をそっとうさ吉の手元にやった後、薄暗い照明に移し、再び口を開いた。
「あなたが探してる人、ここより南の町で見た人がいるらしいって聞いたわ。」
ここより南に町なんてあるか!と怒鳴りつけ、椅子を蹴り上げてテーブルに背を向けるような真似は、うさ吉はしなかった。
それから2時間ほど滞在したのち、うさ吉は店を後にした。
「ほんとうにおかしな人ね。」
女はついさっきまでうさ吉の座っていたチェアを見つめていた。
「案外くすんだ色をしているのね。わたし、もっと真っ白だと思ってた。」
今度は自分の手のひらに目をやり、もう一度呟いた。
「ほんとうにおかしな人ね。」
うさ吉は誰も信じない。自分さえも。
うさ吉は南へ向かった。
お友達 | 種別 | 近況 |
---|---|---|
たら助 | 鱈 | ところどころにいる |
まぐ助 | 鮪 | 記憶をなくしていた |
うさ吉 | 兎 | またとない機会と睨んでいる |
to be continued…
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